京町家の断熱ケアリフォーム

こんにちは。フジイです。frog
すっかりごぶさたしておりまして、すみません!

気が付くと、5月も最終週!気温は30度!
新緑もすっかり濃い緑になって、初夏みたいな気候です。

さて久々の今回は、先日させて頂いた町家の断熱工事をご紹介します。

かれこれ12年程前から、ケアリフォームの工事がご縁でお伺いしていたお客様から、
①冬にすきま風が寒いので、木製の引違い掃出し窓をアルミ製に変えたい。
②夏は虫が入ってくるので、網戸を新設したい。
とのご要望があり、現場調査にお伺いしました。

というのも、ずっとお元気だったお母様が入院され、退院後中庭に面した部屋を寝室にされる際、
今のままだとマズイよねという、娘さん達からのご要望でした。

現調の時の様子です。和室の奥に見えている緑のカーテンのところが今回の交換したい
木製の掃出し窓です。
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木製の窓をアルミ製に変えること自体はそんなに問題ではありません。

でも、問題はこの4枚建て木製掃出し窓の奥に浴室やトイレがあることです。
私達はケアリフォームを生業にしている業者として、床の段差はつけたくありません。

そして、何より築不詳の多分築100年近いこの町家は、今入院しておられるお母様が、
本当に毎年きちんきちんと手を加えられて、みごとな状態で維持されていて、
京都市の景観まちづくりの会報誌に載ったり、テレビでも放送された程です。

ここにアルミサッシが来て大丈夫か???
入院しておられるお母様ががっかりされないような、町家に馴染んだ断熱工事が必要です。

だから今回のテーマは「退院されたお母様がリフォームしたことに気が付かない。」です。

そこにもう一つ大きな問題がありました。
よくあることですが、床のレベルが真っ直ぐではないのです。
巾4mの縁側の左の壁から80㎝程のところを高さの頂点に左に1㎝、右の壁に向かって2㎝、
床の高さが違うのです。

アルミサッシは床のレベルが真っ直ぐでないと取り付けできません。

それで、床のレベルを直しつつ、和室からの1.5㎝(15㎜)の段差を解消しつつ、
浴室、洗面所、トイレからも、将来車いすでも通行可能なことを考えました。

これが、工事後のサッシが入った写真です。
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結果的にもともとの木製建具は残して、内側にインナーサッシを取付ました。

インナーサッシの敷居の分、床に15㎜段差がつくので、縁側の内部に
厚さ15㎜の松の縁甲板を貼って、和室からの段差と敷居の段差を解消しました。

最後まで頭を悩ませた浴室、トイレに通じる通路のところに、
インナーサッシを取り付けることで新たにできた15㎜の段差には、
厚さ20㎜のゴムをスロープ状に加工してもらい、歩行器や、車いすでも
通って頂けるようにしました。
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常時設置ではなく、通行される度に脱着しないといけないので、
設置しやすく、介護される娘さん達にとって重くなく、かつ丈夫な物が必要でした。

そして網戸も付きました。
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終わってみると、私達的には、「ん?なんか工事しはったん?」の感じですが、
いよいよお母様が退院される日が近づいて来ました。

来週は退院に向けての手摺取付の現調です。
その日約5か月ぶりにお母様がお家に帰って来られます。

どうか気に入って頂けますように…。
というか、リフォームしたこと、気が付かれませんように…。

そんなところで、今回はこれで失礼いたします。frog

投稿者プロフィール

フジイ
フジイ
建都建築部でケア(介護)リフォームを主に担当しておりますフジイです。
ケアリフォームと言っても、高齢者の方や障がい者の方のためだけでなく、新築や一般リフォームの中にもケアの視点でかかわります。
お客様のこだわりを大切に、日々が楽しくなり、心地良く、安全な住まいづくりの日々のつれづれをご紹介します。

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